ペット葬祭業課税事件=シンプル判例まとめ=
最判平成20年9月12日
目次
事実の概要
宗教法人Xは、境内に設置した火葬場や墓地等において、死亡したペットの葬儀、火葬、納骨(保管)、および塔婆や位牌等の販売(以下「本件ペット葬祭業」)を行っていた。Xは、これらの行為について「料金表」等により定められた一定の金員を依頼者から受領していた。Xは、これらの活動は宗教法人としての宗教行為(布施)であり、収益事業には該当しないとして法人税の申告を行わなかった。これに対し、課税庁(Y)は、本件ペット葬祭業は法人税法施行令で定める「請負業」(葬儀・火葬)、「倉庫業」(遺骨保管)、「物品販売業」(位牌等の販売)等の収益事業に該当するとして、課税処分を行った。
主な争点
宗教法人が行うペット葬祭業(葬儀、火葬、遺骨保管など)が、法人税法施行令5条1項各号に掲げる「請負業」や「倉庫業」等の収益事業に該当するか否か。
法的三段論法でのまとめ
大前提(法規定および解釈)
法人税法上の「収益事業」に該当するか否かは、法令に列挙された事業(請負業等)の形式的要件だけでなく、課税の公平(イコール・フィッティング)の観点から判断される。具体的には、その事業に伴う金銭の授受が「役務の対価」であるか「喜捨」であるかおよび民間事業との「競合関係」の有無等を踏まえ、当該事業の目的・内容・態様を社会通念に照らして総合的に判断すべきである。
小前提(事実認定)
Xが行う本件ペット葬祭業では、動物の種類や大きさ等に応じた「料金表」によって金額が定められており、依頼者はその対価として金員を支払っている実態がある(対価性の認定)。また、ペット葬祭業は多くの民間事業者も参入しており、Xの事業の目的、内容、周知方法等はこれら一般事業者が行う事業と類似しており、競合関係にある(競合性の認定)。
結論(当てはめ)
したがって、Xが宗教上の儀式としてこれらを執り行っていたとしても、本件ペット葬祭業は、役務の対価を得て行われるものであり、かつ民間事業と競合するものであるから、社会通念上、法人税法施行令に規定する「請負業」「倉庫業」および「物品販売業」等に該当し、法人税の課税対象となる収益事業である。


