清水惣事件=シンプル判例まとめ=

大阪高裁昭和53年3月30日判決

事実の概要

繊維製品売買業を営む法人Xは、その子会社であり製造業を営むTに対し、事業達成を援助する目的で、期間を3年に限り4000万円を限度として「無利息」で融資する契約を締結した。この契約に基づき、Xは昭和39事業年度において月末残高約2654万円を無利息で融資した。これに対し、課税庁(Y)は、当該無利息融資について年10%の利率による利息相当額をXの収益(益金)と認定すると同時に、同額をTへの寄付金(損金算入限度額あり)として認定し、所得金額に加算する更正処分を行った。

主な争点

親会社が子会社に対して行った無利息融資による経済的利益(利息相当額)の供与は、法人税法上の「益金」として認識されるか。
認識された収益に対応する経済的利益の供与は、法人税法上の「寄付金」に該当するか。

法的三段論法でのまとめ

大前提(法規定および解釈)
法人税法22条2項は、「無償による役務の提供」によって生じた経済的利益を益金(収益)に算入すると定めている。したがって、営利法人が他者へ無利息で融資を行った場合、特段の「合理的な経済的目的(倒産防止など)」がない限り、通常受け取るべき利息相当額が収益として認識され、同時にその免除益は寄付金(法37条)として扱われる。

小前提(事実認定)
親会社Xは子会社Tに対し、事業援助の目的で金銭を無利息で貸し付けた。この無利息融資には、収益認識を否定するに足る特段の事情(合理的な経済的目的による例外事由)までは認められない。

結論(当てはめ)
したがって、X社はT社に対して年6%(当時の相場に照らした通常の利率)の利息相当額の収益(益金)を得たとみなされ、同時に同額をT社に寄付した(損金算入には限度額あり)ものとして、法人税の課税所得が計算される。