期限後申告でも損失は繰り越せる?
所得税には、青色申告をしている場合、損失を翌年以降3年間繰り越すことができる制度があります。「繰越損失」と呼ばれるものです。(例えば、事業所得で損失が出て、その他の所得と差し引きしてもなお損失が残った場合、その残額が繰越の対象となります。損益通算と呼ばれるものですが、詳細は端折ります。)
さて、本日が2021年の4月18日なのですが、2021年の申告期限は4月15日でした。ここで問題です。4月16日以降に申告書を提出した場合、使用できるのでしょうか?
所得税法では次のようになっています。
(純損失の繰越控除)
第七十条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
4.第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
つまり、第70条4項の条件を満たせば損失を繰り越すことができるということなので、期限後申告でも繰越損失は適用可能ということです。ちなみに、2011年(平成23年)よりも前は、繰越損失には期限内申告が条件となっていました。
私もふと期限内/期限後と、どっちだったかと迷ってしまったのですが、税法は改正が頻繁に起こりますので、まず調べるという姿勢が大切です。2021年の申告期限もすぎましたが、コロナによりまだ申告ができていないという方もいらっしゃると思います。その場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。