共同相続人の連帯納付義務事件=シンプル判例まとめ=

最判昭和55年7月1日

事実の概要

被相続人Aの死亡により、X(長男)、B(長女)、C(養子)が共同相続人となった。3名は相続税の申告を行ったが、BおよびCは算出された相続税を完納しなかった。 課税庁(Y)は、相続税法34条1項に基づき、XにはB・Cの未納分について連帯納付義務があるとして、X所有の土地を差し押さえた。 Xはこの土地を第三者D社に売却し、D社は差押え解除のために滞納分を代位弁済(納付)した上で、その額を売買代金から差し引いた。

 Xは、「連帯納付義務の確定には特別な手続(賦課決定処分や納税告知など)が必要であるにもかかわらず、それがなされていないため、連帯納付義務は存在しない」と主張し、D社による納付は誤り(過誤納金)であるとして、国に対しその返還(不当利得返還)を求めた。

主な争点

相続税法34条1項に基づく連帯納付義務は、本来の納税義務者(他の共同相続人)の納税義務が確定すれば法律上当然に発生・確定するものか、それとも連帯納付義務者に対する個別の確定手続(賦課決定や納税告知書の送達など)を必要とするか。

法的三段論法でのまとめ

大前提(法規定および解釈)
相続税法34条1項に定める共同相続人の連帯納付義務は、国税徴収確保のための特別の責任である。この義務は、本来の納税義務者(他の相続人)の納税義務が確定すれば、法律上当然に発生・確定するものであり、連帯納付義務者に対する個別の確定手続(賦課決定や告知)を要しない。

小前提(事実認定)
本件において、共同相続人BおよびCは相続税の申告を行っており、その固有の納税義務は確定している。しかし、BおよびCはその税額を完納しておらず、滞納状態にあった。XはB・Cと同一の被相続人Aから財産を取得した共同相続人である。

結論(当てはめ)
したがって、BおよびCの納税義務が確定した時点で、Xの連帯納付義務も法律上当然に確定している。税務署長がXに対して個別の確定手続を経ることなく行った徴収手続(差押え等)は適法であり、Xの不当利得返還請求は認められない。