免税事業者の課税売上高事件=シンプル判例まとめ=
最判平成17年2月1日
目次
事実の概要
株式会社Xは、ある課税期間(本件課税期間:平成5年10月1日~平成6年9月30日)について、その基準期間(本件基準期間:平成3年10月1日~平成4年9月30日)における売上総額が3052万円余であった。当時、消費税の納税義務が免除される基準期間の課税売上高の上限(免税点)は3000万円であった。
Xは、本件基準期間においては免税事業者であったため、課税売上高の算定にあたっては、売上総額から消費税相当額(当時は税率3%)を控除すべきであると主張した(3052万円×100/103≒2964万円)。この計算によれば課税売上高は3000万円以下となるため、Xは本件課税期間においても免税事業者に該当すると判断し、消費税の申告を行わなかった。
これに対し、課税庁(Y)は、基準期間に免税事業者であった者の課税売上高は、売上総額そのものであり消費税相当額の控除は行わない(3052万円そのものが課税売上高となる)として、Xに対し消費税の更正決定および無申告加算税の賦課決定を行った。
主な争点
基準期間において免税事業者であった者の「基準期間における課税売上高」を算定する際、その期間の総売上高から「課されるべき消費税に相当する額」を控除すべきか否か。
法的三段論法でのまとめ
大前提(法規定および解釈)
消費税法第9条および第28条の解釈において、「基準期間における課税売上高」から控除される「課されるべき消費税に相当する額」とは、事業者に現実に課される消費税額を指す。したがって、納税義務を免除されている免税事業者については、「課されるべき消費税」は存在せず、売上総額から消費税相当額を控除することはできない(課税売上高=売上総額となる)。
小前提(事実認定)
会社Xは、本件課税期間の判定基礎となる「基準期間」において免税事業者であり、その期間の売上総額は3052万円余りであった。また、当時の納税義務免除の基準となる金額は3000万円であった。
結論(当てはめ)
免税事業者であったXの基準期間における課税売上高は、売上総額から消費税相当額を控除しない3052万円余りと認定される。これは基準金額(3000万円)を超過しているため、Xは本件課税期間において消費税の納税義務を負う課税事業者に該当する。

