シルバー精工事件=シンプル判例まとめ=
最高裁判所 第一小法廷 平成16年6月24日判決
目次
事実の概要
事務用機器の製造販売を行う内国法人X社(原告・上告人)は、米国子会社A社を通じて、自社開発のプリンター等を米国で販売していた。これに対し、米国法人B社は、自身の保有する米国特許権を侵害するとして、米国国際貿易委員会(ITC)に対し、X社製品の米国への輸入差止等を申し立てた。
X社は、米国での販売拠点を失う経済的打撃を避けるため、B社と和解交渉を行い、和解契約を締結した。この契約に基づき、X社はB社に対し、解決金等を支払ったが、この支払いに際して源泉徴収税額を控除しなかった。
争点
外国法人B社に対して支払われた和解金等が使用料(ロイヤリティ)として所得税法上の「国内源泉所得」に該当するか。
法的三段論法でのまとめ
大前提(法規定および解釈)
所得税法上、外国法人に対する特許権使用料等が課税対象(国内源泉所得)となるのは、その権利が「国内において使用」される場合である(使用地主義)。 特許権は属地主義により登録国のみで効力を有するため、外国特許権(米国特許権)自体を日本国内で使用することは法的に観念できない。
小前提(事実認定)
本件において、X社がB社に支払った和解金等は、B社が米国で提起した米国特許権侵害訴訟(輸入差止請求)を解決し、X社製品の米国での販売を継続することを主たる目的として支払われた。 契約文言に製造許諾が含まれていたとしても、それは従たるものであり、本質的には「米国特許権の米国内における実施の対価」であると認定される。
結論(当てはめ)
したがって、和解金等は「米国特許権」の対価であり、「日本国内において使用」される権利の対価ではないため、所得税法上の国内源泉所得には該当しない。

