オデコ大陸棚事件=シンプル判例まとめ=

東京高裁昭和59年3月14日判決

事実の概要

パナマ法人であるX(原告・控訴人)は、石油の掘削等の事業を行うことを目的とする会社である。Xは、内国法人が日本沖合鉱区の海底(領海の外側)において石油および天然ガスの探鉱開発を行うにあたり、そのための試掘井の掘削作業等を請け負った。課税庁(Y)は、この大陸棚における掘削作業等から生じた所得は、法人税法上の「国内源泉所得」該当するとして、Xに対して法人税の決定処分等を行った。

争点

領海の外側にある「大陸棚」において行われた事業活動が、法人税法の適用対象となる「国内(施行地)」での活動に該当するかどうか。すなわち、明文の規定がない状況下で、日本の租税法規の効力が大陸棚に及ぶかどうか。

法的三段論法でのまとめ

大前提(法規定および解釈)
国際法(大陸棚条約)上、沿岸国は大陸棚における天然資源の探査・開発について主権的権利を有しており、これには課税権も含まれる。法人税法における「国内(施行地)」の解釈にあたっては、この主権的権利の範囲と整合させる必要があり、明文の規定がなくとも、天然資源開発に関連する活動においては、大陸棚は実質的に法人税法の適用される「国内」に含まれると解するべきである。

小前提(事実認定)
外国法人Xは、領海外にある大陸棚において、海底の石油・天然ガス資源の探査・開発を目的とした試掘井の掘削作業(請負事業)を行った。この活動は、日本国が主権的権利を有する天然資源の開発に直接関わるものである。

結論(当てはめ
したがって、Xが当該大陸棚における掘削作業から得た所得は、法人税法の適用対象となる「国内において行う事業から生ずる所得(国内源泉所得)」に該当し、日本国の課税権が及ぶため、Xには法人税の納税義務がある。