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 2020年7月に税理士となりました山上紘充と申します。私が税理士を目指したきっかけは、2011年に語学留学でフィリピンに行ったさい、そこで知り合った留学生が簿記1級をもっていたことです。普段なら資格の話というものは聞き流すのですが、なぜか気になって帰国後に会計・税務の勉強を始めることになりました。当時31才。何気ない会話が人生の転換点になったわけです。

 さて、ふとしたきっかで目指した税理士なのですが、昨今、巷を騒がせている「AIによって今後なくなる仕事」にあげられています。大きなところでいうと、仕訳の入力の場面で人間の手を借りる必要がなくなるといわれています。(1)FinTechや画像認識によってデータが「人の手を介さずに」収集できるようになり、さらに(2)会計システムへの仕訳入力がビックデータの活用で「人の判断を介さずに」勘定科目が選ばれるようになるため、いま行われている入力作業の大半は自動的に行われるようになるといわれています。(仕訳入力後の「仕訳帳→総勘定元帳→試算表→精算表→貸借対照表・損益計算書」という簿記の教科書に出てくる一連の流れは会計ソフトにより自動的に行われます。)

 もちろん、これをもって税理士不要とはいえませんが、省力化・省人化につながることでしょう。さらに会計ソフトと税務ソフトを連動させ、税務ソフトの調整項目も自動的になされるようになると、申告書の作成や申告そのものも「専門家の手を借りずに」作成できるようになっていくかもしれません。むろん、現時点ではまだまだ改善の余地はありますが・・・。

 ここで念頭に置くべきことは、現時点でAIの能力がまだ低いということをもって敬遠してはいけないということです。実際、AIによる変化は着実に起きています。Amazon Goによるレジ不要のコンビニ、チャットボットによる自動会話などなど。髪がフサフサの人から髪の毛が一本抜けたとしてもフサフサのままでしょう。しかし、たとえ一本ずつであったとしても徐々に抜けていくと、グレーゾーンを経て、どこかのタイミングで質的な変化が起こります。ハッと気づいたときには時すでに遅し。もっと前から対策していれば・・・。

 私自身、せっかくこの変化の時代に税理士になったのですから、そもそも「なくなる」や「なくならない」とった外からの議論ではなく、内側からAIを活用する地盤を築いていきたいと思っています。時代にそった技術をもちいて、自らが事務所経営を行い、さらにそれをお客様にもご提案していけるようになること。これが私の使命だと思っております。